MASANOBU IN PARIS,1990
写真・文:大内正伸
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ルーブル美術館
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中央のガラスのピラミッドから地下のフロアーに降り、入場券を買う。
とにかく、中は広くて道が複雑で、よく分らない。
エジプト美術の展示室を通り抜け、でたらめに
歩いているうちに、有名なギリシア彫刻サモトラケのニケの像の前に出た。
ドラクロアの部屋にたどり着く。
「ダンテの船」「シオの虐殺」「民衆を率いる自由の女神」などの代表作が並ぶ。
「サルナダパールの最後」に惹き付けられる。図版で見ていたものとなにかこう、
根本的に違う圧倒的な迫力が絵から降り注いでくる。
でもお気に入りはやっぱり「アルジェの女たち」!
この絵を後続の巨匠たちが愛したというのが、本物を見れば納得なのである。
ルーベンスの連作「マリー・ド・メディシスの生涯」の大部屋も凄いもので、
その後どこまでも絵画の回廊が続くのでいいかげん飽きてくるが、
ほど良いタイミングで知っている名画が現れたりして立ち止まってしまう。
フェルメール、ゴヤ、ワトーなど、色の深みがすばらしいのである。
彫刻の部屋も駆け足で見てまわるが、
夕暮れて窓から斜光が像を照らし始め、本当に駆け足になる。
ルーブルを1日で回ろうなどというのは土台無理な話なのだ。
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