紙芝居『秋川谷のものがたり』

原作 田嶋寿(たじま・ひさし)/2003 大内正伸 編





 原作『絵物語 秋川谷の風物詩』(安楽城出版1985)は、東京あきる野市の伊奈に生まれ育った田嶋寿(たじま・ひさし)さんの著作で、田嶋さんは地元で写真屋さんをしながら郷土芸能の保存やアマチュア写真家として活躍され、最晩年にこの作品を出版されたのでした。

 田嶋さんが少年当時(大正7〜9年頃)の頃の思い出を中心に、地元の風俗や文化、遊び、生業(なりわい)などが、著者自身による素朴な絵と、観察力にあふれた文章でつづられたもので、144ページの中に全70篇の内容が納められています。今ではほとんど消滅してしまった古き良き時代の西多摩の習俗・文化を描きとどめた貴重な資料となっており「五日市郷土資料館」石井道郎氏による序文が添えられています。

 ある日、亡くなられた田嶋さんのご親友という方から、この絵本の存在を知らされ、紙芝居化を持ちかけられました。「大内さんの絵に描き替えて新たに創作しては?」というお話でしたが、この絵には田嶋さんにしか描けない温かみとオリジナリティがあるので、絵をそのまま紙芝居化して、読み聞かせのように演じることにしました。

 とはいえ、今どきモノクロ原画では舞台でのアピールが弱いので、PCに読み込んで若干の修正をほどこした後、手彩色することにし、70篇の中から象徴的な6枚を厳選。読みは紙芝居用に多少変えさせていただき、タイトルは『秋川谷のものがたり』としました。本紙芝居にも、はじめと終わりにオリジナルのテーマソングがあります(「秋川谷のものがたり紙芝居のテーマ」「この町で」/CD『この町で』収録)

※本紙芝居と上演については、著作権所有者である田嶋婦人の許可を得ています。